母親に指示され祖父母を殺害した少年の悲しい生い立ち
埼玉・少年の祖父母刺殺事件。母親にネグレクト、虐待されて家もない状態の少年が祖父母を殺害。悲しい生い立ちと、助ける事が出来なかった大人の悲しい結末。
2014年、埼玉県川口市のアパートで、祖父母を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた18歳の少年
出典 祖父母殺害事件、懲役15年判決に学ぶべきこと|事件に学ぶこと|News|スマイルヤング(青少年健全育成会)
裁判所は懲役15年の判決を言い渡しました。
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何の落ち度もない2人の命が奪われたという結果は言うまでもなく極めて重大。
出典 毎日新聞
▼ネグレクト、虐待、野宿・・・
少年が寝泊まりしていた公園
小学校に入る前に父母が別居し、その後離婚。
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母がホストクラブに通い続け、少年は毎晩家に来て酒を飲むホストに付き合わされ、小学4年からほとんど学校に行けなくなった。
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時には母がホストを追いかけ1カ月ほどいなくなったこともあった。その後、母は再婚し一時は元ホストの義父と母親と3人で暮らし、2〜3カ月間は小学校に通った。その後、引っ越して小学5年からは学校に通っていない。
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義父に収入がある日は3人でラブホテルに宿泊し、仕事がない日は公園で野宿した。
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ささいなことで義父に殴られ、前歯が4本折れたこともあった。
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そして父親違いの妹の面倒を必死にみていた。横浜市での野宿生活の極限状態の中でも、実母らの代わりに妹のおしめを換えるなど献身的な世話をしていた。
出典 毎日新聞
▼「殺してでも借りてこい」
父方の祖母の姉は、母と義父に脅迫され、約4年間で振り込んだ金は400万〜500万円。
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その後、義父は就職して会社の寮で暮らした。間もなく義父は失踪し、少年は16歳から代わりに働いた。
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母は少年に給料の前借りを強要し、その金も尽きてしまった。そして母から「殺してでも借りてこい」と迫られた。』東京高裁で始まった2審では、理化学研究所で親子関係の脳科学を研究する黒田公美氏が弁護側証人として出廷し、「少年は母親に心理的にコントロールされ、逆らえない状況に追い込まれた」と分析した。
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少年は実母から繰り返し「お前は働けないんだから金を借りてこい」と命じられ、「家族の役に立てない自分が悪い」と自分を追い込んでいた。
また、実母は、少年が親しくしようとする知人や親類らの悪口を吹き込んで不信感を抱かせ、家族以外と関わる機会を奪っていた。
少年は祖父母を殺害し現金とキャッシュカードを奪った。
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▼変化した少年の心
少年は小学5年の時に実母が1カ月も家に戻らなかった体験から、実母が視界の中にいないと不安で、常に実母の後ろを歩くようにしていたという。
出典 毎日新聞
さらに、少年は「金を渡せば、母に見捨てられない」という心理状態になっていた。母は何を望み、どうしたら喜ぶのか。そのそんたくに必死で、今回起こした事件でも実母の真意を自分なりに解釈し「捨てられたくない」あまりの行動だったように感じる。
出典 毎日新聞
1審判決後、少年は実母や義父以外の人とのふれあいの中で、初めて自分の思考の偏りに気づいたようだという。2審の被告人質問では、ある血縁者について「(よく知らないのに)母の話で悪人だと決めつけていたが、(1審後に知り得た情報から)いい人かもしれないと分かった」と悔いた。
出典 毎日新聞
「(殺害について)自分は悪くないと思うか」と問われた少年は「電話相談に掛けていたら、何かが変わったかもしれない。掛けなかったのは、自分の責任」と語った。被告人質問の他の場面では「大人は信じられない」と語った少年だが、誰かが助けてくれるかもしれないという期待を捨てきれずにいたように感じる。
出典 毎日新聞