殺害現場をテレビで生中継･･浅沼稲次郎暗殺事件と山口二矢
1960年10月12日、日比谷公会堂において、演説中であった浅沼稲次郎日本社会党委員長が17歳の右翼少年・山口二矢に暗殺された事件。殺害現場がNHKで生中継され、衝撃的な事件でもあった。
●浅沼稲次郎暗殺事件
1960年10月12日、日比谷公会堂において、演説中であった浅沼稲次郎日本社会党委員長が17歳の右翼少年・山口二矢に暗殺された事件。
出典 浅沼稲次郎暗殺事件 - Wikipedia
●山口二矢
山口二矢は、1943年2月22日、東京都に生まれた。
出典 山口 二矢(ヤマグチ オトヤ)とは - コトバンク
父親は、陸上自衛隊一等陸佐を務め、二男として出生。父親が姓名判断をした上で、「二の字に縁が多い」ことによって彼の名前を二矢と名付けた。
出典 山口 二矢(ヤマグチ オトヤ)とは - コトバンク
父は東北帝国大学出身の厳格な人物で、兄も学業に秀でていた。大衆作家の村上浪六は、母方の祖父にあたり、文化史家の村上信彦は伯父にあたる。
出典 山口二矢 - Wikipedia
・「右翼野郎」
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幼年時代から新聞やニュースを読み、早くから右翼思想を持った兄の影響を受けて右翼活動に参加することになった。
出典 山口二矢 - Wikipedia
父親の仕事の関係で転校を繰り返しているうちに、孤独の中、二矢は「強いもの、流行するもの」に対する反発心が強くなっていく。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
彼にとって左翼こそ強者であり、流行に便乗していると映っていく。ちょうど時代は戦争が終わり、思想的に右翼とか左翼とかを問題にする時期であった。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
二矢の高校の時のあだ名は「右翼野郎」であった。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
そんなとき二矢は赤尾敏に出会う。二矢が初めて赤尾の街頭演説聞いて震えを覚え、その二日後愛国党の本部を訪ねている。以来二矢は愛国党の本部で過ごす。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
山口は赤尾の演説に対して野次を飛ばす者がいると、野次の者に殴りかかっていった。ビラ貼りをしているときに、警察官と取っ組み合いの乱闘をしたこともあった。
出典 山口二矢 - Wikipedia
・「左翼を倒す」
時代は安保闘争に入っていた。安保反対に集結する群衆の前では、右翼は一握りの砂でしかなかった。国は安保反対に揺れていた。自分のような金も組織もない人間にとって、残された方法は一つ。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
彼はしだいに愛国党を離党し、武器を手に入れ、左翼の指導者をテロルによって倒そうと考えるようになっていった。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
8月、「一人一殺」の考えをかためた山口は党員2人とともに脱党。「全アジア反共青年連盟」に加盟し、活動を開始した。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
●浅沼稲次郎
浅沼稲次郎は”社会党の看板男”だった。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
理論家ではなかったが、演説内容がわかりやすく、人気があった。スポーツ新聞のコラムを担当し、プロレスや相撲に庶民的な時評を寄せた。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
1959年3月4日、浅沼氏は社会党訪中使節団の団長として北京を訪れ、13日の会合で「アメリカ帝国主義は中日共通の敵」と発言。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
この発言は新聞各紙に大々的に報じられたが、浅沼委員長自身がそれを否定せず、羽田空港に人民帽をかぶって降り立ったことで、さらに怒りを買うことになった。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
・浅沼稲次郞を倒す
誰を倒せばいいのかーー。二矢は六人の政治家をリストアップ、その中に浅沼稲次郞の名があった。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
二矢は浅沼を討つことを決意した。
出典 山口二矢烈士五十五回忌 - 愛国社会主義研究会
・演説中に暗殺
殺害現場は生中継される事となった
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1960年10月12日午後2時、東京の日比谷公会堂では、「三党首立会演説会」が開かれ、会場は1000人を超える聴衆で膨れ上がった。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
午後2時45分頃、浅沼稲次郎が壇上で演説を始めた。激しい野次が飛び交っていた。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
午後3時過ぎ、野次により演説が聞き取りづらくなったため、司会席のアナウンサーはマイクに向かって、「静粛にして欲しい。せっかくのお話が聞けなくなる」と呼びかけ、場内は一瞬静まった。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
その時、学生服の上にカーキのジャンパーを着た少年が植木鉢の陰から現れ、壇上に駆けあがってきたからだ。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
少年は何かをつぶやきながら、ぶつかるようにして持っていた短刀で委員長の胸を2度刺した。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
一部始終はNHKテレビで生放送されていた。この場面を撮影した毎日新聞社の長尾靖カメラマンは日本人初のピューリッツァー賞を受賞している。
出典 浅沼社会党委員長刺殺事件
現行犯逮捕された山口は当時17歳で少年法により実名非公開対象であったが、事件の重大さから名前が公表されている。
出典 山口二矢 - Wikipedia
・ポケットに入れていた斬奸状の文面
「浅沼委員長を倒すことは日本のため、国民のためになることであると堅く信じ殺害したのでありますから、やった行為については法に触れることではありますが私としてはこれ以外に方法がないと思い決行し、成功したのでありますから、今何も悔いる処はありません。
しかし現在浅沼委員長はもはや故人となった人ですから、生前の罪悪を追及する考えは毛頭なく唯故人の冥福を祈る気持であります。
また浅沼委員長の家族に対しては経済的生活は安定しているであろうが、いかなる父、夫であっても情愛にかわりはなく、殺害されたことによって悲しい想いで生活し、迷惑をかけたことは事実でありますので、心から家族の方に申し訳ないと思っています」
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
・17歳で生涯を終える
山口二矢は１１月２日に練馬の少年鑑別所に移された。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
午後八時の点呼で部屋の中で天井からぶら下がっているのが発見された。シーツを細長く裂き、それを８０センチほどの紐にして天井の裸電球を包む金網にかけて首吊り自殺した。
出典 沢木 耕太郎著 『テロルの決算』 : 私の引き出し
遺書はなかったが、練り歯磨きで『七生報國 天皇陛下万才』の文字を残していた。
出典 山口二矢烈士五十五回忌 - 愛国社会主義研究会
